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情報誌「On!」

WEB ON! 40号

東京マラソン2018
ランナーインタビュー

男子マラソンの日本記録が16年ぶりに更新されたことで話題となった東京マラソン2018。この大会に大丸有まちづくり協議会から2人のランナーが参加しました。1人は視覚障害のハンデを乗り越え、2004年アテネパラリンピックのフルマラソンで優勝を果たした高橋勇市さん。もう1人は当協議会の事務局をつとめ、日々まちづくりを推進する、アクティブ系ワーカーの大原大志さん。
今回2人には、大会に出た感想や走ることの魅力などについて熱く語っていただきました。マラソンという共通のスポーツを通じて意気投合する2人。その和気あいあいとした対談の模様をお届けします。

沿道から選手に送られる世界各国の言葉。
東京マラソンが世界的な大会になったことを実感します。

三菱商事株式会社 広報部
高橋 勇市さん

三菱地所株式会社 開発推進部
エリアマネジメント推進室 ユニットリーダー
大原 大志さん

マラソンの世界へ踏み出したきっかけは?


大原:そもそも、高橋さんはどのようなきっかけで走り始めたのですか?
高橋:小学生の頃、体力づくりのために学校が走ることを推進しており、休み時間にみんなで校庭を走ったり、全体で持久走大会を開催したりしていました。私も走るのは好きだったので、いつも楽しんでそれに参加していたのですが、小学5年生の持久走大会を前に3ヵ月も入院する重い病気を患ってしまって。結局、病み上がりのせいでその年の結果は最下位。フィニッシュ後には悔しさに思わず泣き崩れてしまいました。と同時に「来年こそは1位になる」と自分に誓ったんですね。そこから丸1年間猛練習し、翌年は無事誓いを果たして優勝することができました。その時から本当に走ることが好きになりましたね。
大原:目が見えなくなっても、走ることへの情熱は失わなかったのですね。
高橋:病気で失明してしまったのは高校生のときでした。最初はすっかり走る意欲を失ってしまっていたのですが、1996年のアトランタパラリンピックで、柳川春巳選手が金メダルを獲得したのを知って、衝撃を受けたんですね。同時に「目の見えない人同士なら、自分も世界一になれるのではないか」と奮い立ち、再びマラソンの練習を始めました。でも、慣れないころは本当に大変でした。伴走者の方がいてくれるものの側溝に落ちて足を骨折したり、木の枝に頭をぶつけたり。それでも心が折れることはありませんでしたね。大原さんが走り始められたきっかけはなんですか?
大原:私はもともと運動があまり得意でなく、中学や高校での持久走大会ではいつも真ん中くらいでした。でも、体を動かすことは自体は嫌いじゃなかったんです。そして社会に出ていろいろな悩みやストレスを抱えるようになったとき、走ることでそれらが解消できることに気が付きました。走っている間は無になれるというか。それから趣味でジョギングを始め、大会などにも徐々にエントリーするようになりました。
それと、私は仕事でまちづくりに携わっていますので、いろんな場所を走ることによって、いろいろなまちを知ることができるんです。残念ながらまだ仕事には結びついていませんが(笑)そういう点も走ることの魅力かなと思っています。
高橋:おっしゃる通りですね。私もマラソンの魅力は“フィールドが決まっていない”ことだと思っています。あるとき水泳の選手に「泳いでいる間は、ずっとプールの底を見ていて風景を楽しむことができないので、高橋さんの気持ちがよくわかります」と言われたことがあるんです。たしかに私も風景を楽しむことはできませんが、いろいろな道を走っている中で、まちの雰囲気や音を感じることができ、それをとても楽しんでいます。
大原:普段はどのようなトレーニングをされているのですか?
高橋:ほぼ毎日走っています。東京マラソンの翌日も20kmほど走りましたからね(笑)。普段は荒川の河川敷を走ったり、伴走してくれる方がいないときにはランニングマシンで汗を流したりしています。
大原:毎日とはすごいですね!私は週末に1時間ほど走る程度でしょうか。それでも、ずいぶんと気分転換になりますよ。もちろん大会が近づいたら2時間、3時間と長い距離を走るようにしています。私も荒川の河川敷はよく走っているので、もしかしたらどこかですでにすれ違っているかもしれませんね。

選手への応援はどの国の大会より素晴らしい。



大原:高橋さんは今年の東京マラソンで何回目ですか?
高橋:第1回大会を含め、5回目になります。
大原:それだけたくさん参加されていると、マラソン大会の変遷も肌で感じるのではないでしょうか?
高橋:そうですね。沿道からの応援も回を重ねるごとに熱を帯びてきているように感じます。これまでにロンドン、ニューヨーク、ホノルル、ムンバイと世界各国のマラソン大会に参加してきましたが、東京マラソンの応援が一番素晴らしいのではないでしょうか。ロンドン、ニューヨーク、ボストン、ベルリン、シカゴと並んで、世界6大メジャーマラソンになったこともあり、国際色も非常に豊かになりました。沿道からの声援も英語、中国語、韓国語と多彩になっていると感じます。
大原:私も東京マラソンは2回走ったのですが、応援は本当に力になりますね。給水所だけでなく、あちこちで「チョコレートをどうぞ!」なんて差し入れをいただいたりして、それがとても嬉しいですね。
高橋:市ヶ谷の駐屯地の前で自衛官がオーケストラを演奏してくれたり、そこかしこで子供たちがダンスをしながら応援してくれたりと、まさに“東京”がひとつになって大会を盛り上げていますよね。「そこまで応援されたら苦しくても歩けないな」というプレッシャーはありますが、本当に力になります。
大原:2018年の東京マラソンでは2時間6分11秒という日本記録も飛び出し、お互い歴史的な瞬間に立ち会うことができましたね。高橋さんも、ランナーとして刺激を受けたのではないでしょうか?
高橋:今回日本記録を出された設楽選手とは、一緒に練習をしたこともあったので、記録を出してくれて本当に嬉しく思いました。東京2020大会も迫ってきていますので、今後は私も自己ベストの更新を目標に頑張っていきたいと思います。
大原:私もレベル感は違いますが、市民ランナーの目標といえるサブフォー(4時間切り)を目指して頑張りたいと思います。東京2020大会に向けて、本業のまちづくりの方でも、皆様にもっとこの地区の魅力を知って頂けるように邁進していきたいですね。
高橋:本日はありがとうございました。
大原:こちらこそ、ありがとうございました。

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