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情報誌「On!」

WEB ON!39号

人々の五感を刺激する/「官能都市」大丸有

都市の魅力とはなんだろう。豊かに過ごせる都市とは、どのような場所だろう。センシュアス・シティ調査は、都市の本当の魅力を測る新しい物差しとなります。今回、大丸有協議会が行ったこの調査によって、大丸有エリアの新たな魅力が顕になってきました。 今号のON!では調査によって明らかになった大丸有エリアの新たな魅力のうち「ロマンスがある」「自然を感じる」「歩ける」に焦点を当てて紹介します。

丸の内ハニープロジェクト

銀座ミツバチ 代表取締役社長
田中 淳夫さん

農的な活動が街にデザインされていくことで
“働く場所”が“潤いの場所”に変わっていく。

2006年に銀座の紙パルプ会館屋上で養蜂活動を始め、大きな話題となった「銀座ミツバチプロジェクト」。そんな養蜂の取り組みは、現在は大丸有エリアにも広がり、「丸の内ハニープロジェクト」として多くの人を巻き込んで活動の輪を広げています。今回、農業生産法人株式会社銀座ミツバチ理事長の田中淳夫さんと、大丸有まちづくり協議会の溝口修史さんに大丸有エリアの自然と、養蜂の魅力について語っていただきました。

養蜂によってつながる、人と人、地域と地域。

──銀座ミツバチプロジェクトは、どのような経緯で発足したのですか?
田中:ビルの屋上を探しているという岩手県の養蜂家の方から、「田中さんのビルでも養蜂を始めてみませんか?」とお誘いを受けたんです。最初は場所だけをお貸しするつもりだったのですが、結局は自分でミツバチを飼うことに(笑)。前例のないことでしたので、最初はテナント様も困惑されておりました。紙パルプ会館はホールの運営もしていて、展示会や株主総会などが開催され、日々5000人もの方々が出入りします。そんな場所でミツバチを飼って大丈夫なのかと。また、周りの地権者の方々からも「1日に40万人が集まる銀座という繁華街で危険はないのか」と安全面を危惧する声が聞こえました。しかし、江戸時代から400年以上にわたり、銀座は消費するだけの街でした。そこで天然のハチミツを採る──なんとも痛快じゃないですか。安全性は最優先されるべきですが、何かあったらやめればいいという気持ちでスタートさせました。
溝口:このプロジェクトを皮切りに、全国的にも養蜂が盛んになっていますよね。
田中:今では北海道から沖縄まで、100カ所以上の都市部で養蜂が行われていますからね。日本ばかりでなく、ソウル、台湾といったアジア圏にも広がりを見せています。先日は、チリの大使館が現地の養蜂家とともに見学に訪れました。養蜂は単にハチミツが取れるだけでなく、人と人、地域と地域のつながりを生むことにも貢献してくれています。大丸有まちづくり協議会も、私たちの活動に賛同してくれた団体のひとつですよね。
溝口:銀座ミツバチさんの取り組みを知り、大丸有エリアをもっと多面的な魅力を持つ街にしたいという想いから2015年に「丸の内ハニープロジェクト」を立ち上げ、日本工業倶楽部会館の屋上で養蜂を始めました。千代田区では自然との共生を目指す「ちよだ生物多様性推進プラン」という取り組みを行っていましたので、その活動との親和性が高かったことも実現できた要因のひとつです。

いつかはハチミツを大丸有エリアの名産品に。

──銀座ミツバチプロジェクトは、どのような経緯で発足したのですか?
田中:丸の内ハニープロジェクトではイベントなどを盛んに行い、我々の取り組みの周知に貢献してくれていますね。
溝口:大丸有夏祭りでは地区内の店舗と連携して「丸の内ハニーハイボール」を販売し、大好評を博しましたし、夏のエコキッズ探検隊では採蜜体験を通じて子供たちに自然と共生することの大切さを伝えました。また、この蜂蜜を使用した100%無添加ホットチョコレート「THE SPOON MARUNOUCHI」を大丸有地区限定スイーツとして販売しています。このような展開ができるのも、銀座や大丸有で採れるハチミツが高品質だからですよね。
田中:世界トップレベルのハチミツを扱う「ラベイユ」の社長が、丸の内で採れたハチミツを素晴らしいと絶賛していました。柑橘の風味がありつつ、糖度もしっかり保たれている。こういうハチミツはなかなかないそうです。
溝口:僕の夢は、この素晴らしいハチミツを皇室御用達にすることです。そしてもうひとつの夢が、日々28万人の人が行き交う大丸有エリアの名産品にすること。この街の人たちがどこかへ手土産を持って行くときに“自分の街で採れたもの”として持って行ってほしいんです。この2つの夢を叶えるために、一人でも多く熱い情熱を持った人に参加していただきたい。
田中:都市部では屋上緑化が進んでおり、養蜂だけでなく、たとえば商業施設のマロニエゲートや、デパート、ホテル、結婚式場等の屋上ではサツマイモを栽培して芋焼酎まで作っています。このように、農地でもない場所が生産拠点になり、農的な活動が銀座や大丸有エリアにデザインされていくことで“働く場所”が“潤いの場所”に変わっていくのです。

リアル謎解きゲームin丸の内

大丸有エリアマネジメント協会
ご担当者様

この街の多面的な魅力を謎解きに乗せて、“歩ける街・大丸有”を伝えていきたい。

参加キットをもとに謎が隠された場所を歩き、パートナーと協力しながら答えを探す──。街やテーマパークを舞台にしたリアル謎解きゲームが、いま密かなブームになっています。そして2016年、ここ大丸有を舞台にした『リアル謎解きゲーム in 丸の内〜魔法にかけられた神秘の街~』が開催され大きな話題に。2017年4月に開催された、第二弾の『時空の迷い人と不思議な書物』も大好評のうちに幕を閉じました。今回、このイベントを企画運営している大丸有エリアマネジメント協会(リガーレ)の方に、その興味深い裏舞台を伺いました。

歩きながら街の魅力を体感してもらいたい


──丸の内を舞台にしたリアル謎解きゲームは、どのようなきっかけで企画されたのでしょうか?
私たち大丸有エリアマネジメント協会では、丸の内の歴史や多面的なコンテンツを知っていただくためのイベント『丸の内検定』を2008年から2014年にかけて実施していました。この丸の内検定をステップとして、この街の魅力をもっと知ってもらえる新しい企画はないだろうかと意見を交わすなかで「もっと丸の内を体感できる切り口はないだろうか」というテーマが持ち上がったんです。そこで、すでにテーマパークなどで実施されていたリアル謎解きゲームはどうだろうと。リアル謎解きゲームは、謎が隠された場所を実際に歩き回らなければ答えが見つからないゲームです。私たちがずっと発信したかった“歩ける街・大丸有”を多くの人に伝えるには、まさにぴったりの企画だと思いました。

──第一弾の反響はいかがでしたか?
ゲームには参加キットを購入のうえ参加していただくのですが、当初は「1500〜2000部くらい売れたらうれしいな」と考えていたところ、4500部もの売り上げを記録しました。謎をすべて解き明かすとスマホのクリア画面に自分の登録名が表示されるのですが、それをツイッターやインスタにアップする方が多く、SNSを通じて拡散したことも成功の要因かもしれません。アンケートの結果からも「このイベントをきっかけに丸の内に興味を持った」という方が70%以上にのぼり、多くの人たちに大丸有の魅力を知ってもらうことができたと、手ごたえを感じています。

リアル謎解きゲームをおすすめしたい人は──

──参加者は夫婦や恋人が多いとのことですが、やはりリアル謎解きゲームはカップルにぴったりのイベントなのでしょうか?
そうですね。個人的には、ちょっぴりマンネリ気味のカップルや、付き合う前のモジモジしている男女におすすめしたいと思っています(笑)。ご夫婦やカップルにとっては一緒にひとつの課題を解決することで新鮮な一体感が生まれますし、付き合い始める前の二人にとっては力を合わせて謎を解いたときの達成感がますます距離を近づけてくれると思います。女の子にとっては、相手の男性が頼りになるかどうかチェックするチャンスですしね(笑)。実際に、第二弾のときには婚活イベントとのコラボレーションもあったくらいです。

──リアル謎解きゲーム in 丸の内の今後の展開を楽しみしています!
このイベントは、大丸有のオフィスワーカーにも好評なんです。「毎日ここで働いているのにどうして?」と思われるかもしれませんが、勤務先が駅から地下道で直結しているためほとんど地上に出なかったり、出たとしてもお昼に近場のお店に行くくらいという人が意外と多いんです。「無料で乗れるシャトルバスがあることを初めて知った」という人も過去に参加した大丸有のワーカーの中にはいたくらいですから。このまちの人にも、このまち以外の人にも、もっと大丸有の素晴らしさを知っていただきたいと思っています。現在第三弾が絶賛開催中ですので、これを機に是非参加してみてください。

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